第5回ゲスト ワタミ株式会社代表取締役社長 渡邉美樹さん
2007.11.15

- hitomi
- 今までの人生のなかで、私が一番、長くつづけたアルバイトは和民なんですよ。2年半くらいかな…。そのときは高校生だったから、もう10年以上も前のことですね。青葉台にお店があったんですけど、雰囲気がすごく良くて、店長もスタッフもみんな仲間って感じ。休日もよく一緒に遊んでて、和民の別の店舗にも行ったし、海へ行ったこともあるんですよ。
- 渡邉
- たしかに青葉台店のスタッフは特に仲が良かったね。実は、かなり時間が経ってから、その店長に「歌手になりたい夢をかなえた元アルバイトがいて、それが、あのhitomiさんなんです」って、聞かされたんですよ。それに、思い返してみると、実際に働いている姿も見てるんです。
- hitomi
- ホントですか!?
- 渡邉
- あの頃は、かわいいアルバイトが入ると店中が大騒ぎするバカなノリがあって。噂を聞いて、洗い場で仕事をしている姿をチラッとだけ。それで、「あ〜、あの子か。かわいいな」って。
- hitomi
- ありがとうございます(笑)。私が初めて渡邉社長をお見かけしたのは、現場の営業を監督する立場で来られてたときですね。すごく紳士的な雰囲気で、そのうえ、なんだか「はっはー」って、お殿様に思わず頭を下げちゃうような貫禄というかオーラがありました。
- 渡邉
- そう? その頃は、私もまだ30歳を超えたばかりだったんだけどな(苦笑)。
- hitomi
でも、和民は居酒屋のイメージを変えましたよね。その頃って、みんなで騒げれば良くて、そんなに料理のおいしさを求めないって印象があったけど、和民は営業が始まる前の、かなり早い時間からバイトのおばちゃんたちがやって来て、料理の仕込みをしてたじゃないですか。ポテトの皮をむいてジャーマンポテトを作ったりとか。- 渡邉
- よく覚えてるね。ジャーマンポテトはすごいヒット商品だったんだけど、これを知ってるなんて……。
- hitomi
- かなりのツウですから、私(笑)。それから、当時はミーティングのとき、毎月、頑張った人はそこで1万円もらえたんですよ。
- 渡邉
- 最優秀アルバイト賞ね。
- hitomi
- 私、3回くらいもらいました。
- 渡邉
-
すごい! 3回も受賞しているアルバイトなんて、あまり聞いたことがないよ。ガンバリ屋さんなんだ。
- hitomi
- いえいえ、声だけはすっごい大きかったんで、「いらっしゃいませ、お客様」って(笑)。でも、ホントにうれしかったなぁ。1万円っていう金額はもちろん、仕事に対してプライドを持ってやりたいって気持ちがすごくあったから、余計に誇らしかったですね。それに、アルバイト時代はいろんなことを学ばせていただいたんですよ。たとえば、スタッフとコミュニケーションをとることの大切さとか。でも、今はあんまり密じゃなくて、エレベーターで知ってる人と一緒になっても挨拶がなかったり。会社が大きくなればなるほど組織化が進んで、世の中がいろんな場面で便利になってるけど、そうやって人間関係が薄くなっていくのは、ちょっと寂しいなって感じます。
- 渡邉
- 初心を忘れちゃいけないってことだね。最初に持っていた謙虚さだとか。
- hitomi
-
それって、結局、周りの人への“愛”なのかなって思うんですよ。本当に大事なモノは何なのかなって考えたら、やっぱり愛情が根底にあることなのかなって。
- 渡邉
- その通り。
- hitomi
-
あと、もうひとつ教えてもらったのは、お客さんの立場になって笑顔で応対すること。
- 渡邉
- それは基本だね。お客様といっても、つきつめれば人間と人間の関係でしかないし。
- hitomi
- そういう考え方は、今の音楽活動をするうえでも同じなんですよ。ファンとかお客さんじゃなくて、みんなひとりの人間。そこをちゃんと意識していないと、気持ちって伝わっていかないんですよね。
- 渡邉
-
僕は、接客業って働いている人間たちが笑顔で幸せじゃなかったら、お客様を幸せにすることなんてできないと確信してるんですよ。きっと、音楽も同じだと思うけど、自分が楽しんでいなければ聴いているファンの心を動かす音楽なんて絶対にできないでしょ。どんな仕事にしろ、お客様だからどうこうっていうんじゃなくて、自分が楽しんで、その楽しさを周りの人間にどんどん伝播させるような形にしていかないと。だから、僕はいつでも仕事を楽しもうと思っているし、逆にイヤな仕事は絶対にしない。 - hitomi
- そうですよね。自分のやりたくないことで失敗が重なってしまうと、自分が自分じゃなくなっちゃうというか、心と体が離れていって、どんどん悪い方向にいってしまう。だから、私も自分が心から楽しいって思えることを大切にしたいですね。そして、その気持ちが、みんなの心にもしみこんでいけばうれしいです。
★ プロフィール|渡邉美樹
1959年、神奈川県出身。ワタミ株式会社代表取締役社長・CEO。外食、介護、農業、環境などの事業も手掛けるほか、郁文館湯夢学園理事長、医療法人盈進会理事長、神奈川県教育委員会委員、日本経団連理事、NPO法人「スクール・エイド・ジャパン」理事長など数々の要職を務める。
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